情報整理とアウトプットを得意とするデザイナーの職能が「デザイン思考」という観点で経営者より適切なアドバイスを求められる時代となりました。経営者の視点や,ブランディングの知識・手法がデザイナーにも必要になり「何から勉強すればいいのかわからない」という方は多いのではないでしょうか? 本セミナーでは,中小企業から大企業まで,様々なブランディング案件を手がけた,上田聰司さんが,本などでは読めない「現場の生の声」と,自身が確立したブランディング技法を存分にお伝えします。魅惑のブランディング誘導講座 | NaruhodouCI式企業ブランディング®を確立し多数のブランディング案件を手がけられ、最近ではHOKKAIDO BRANDING SUMMIT.2019にて「経営を変える」という題目のワークショップを開催されるなどひろくご活躍されているプラスディーアンドシー上田聰司さんによるセミナーでした。主催はナルホ堂さん。前回の『中村書体と筑紫書体講座』セミナーの内容も素晴らしい内容でしたが、今回も参加して大変よかったです。内容の丸写しはしませんが、学んだことについて記録しておきます。内容大きく次のような構成でした。(実際の目次から変えてあります)自己紹介デザインやデザイナーのしごとの変遷についてブランドの正体とブランディングの進め方実際に手掛けた案件のブランディング過程の詳説ちなみに冒頭で掲示されたコピーが刺激的でした。はじめにデザインは提案しない。 ブランディングで2転3転しない。 クライアントが喜ぶ、腹落ちする。 そんなプロセス、お伝えします。デザイン・デザイナーのしごとの変遷2018年に経済産業省・特許庁によって取りまとめられた「デザイン経営宣言」、ビズリーチさんのようにデザインが経営トップに深く入っている企業の躍進といった昨今の「デザイン」事情、そして上田さん自身のこれまでの経歴などにふれつつ、「デザイン思考」が一層重要になり経営にとっても「デザイン」が重要なファクターになってきた背景を詳説いただきました。ブランドの正体とブランディングの進め方「ブランド」「ブランディング」が何たるかを、難しい単語一切使わずに「おお、なるほど!」と学ばせてくださる講演内容には脱帽でした。さらにはご丁寧に「これさえメモっておけば大丈夫」という用紙の準備まで。実は(私にとっては)このシートに埋めていく情報以外にも学ぶことがたくさんあって、たとえ話の内容など、「なるほど!」と思えることをメモしていたら結構な量になっていました。以前(2015年)参加したTMC小川明生さんのセミナーではブランディングの手法を中心に学びましたが、今回は「ブランド」そのものの正体についてカンタンな言葉で詳説頂いて、理解が深まったとともにいろいろなことがつながるような感覚がありました。どうしたいか、あるいはどう思われたいかという目的地が定まっていない状態で闇雲にデザインを進めても「強い」ブランドにはなりえないことが論理的に理解できました。このあたり確かに課題感を個人的に感じていたので、今後のものごとの進め方としてとても良いヒントを頂きました。実際に手掛けた案件のブランディングプロセス紹介コピーライティング、グラフィック、あるいは経営者とのコミュニケーションや、一般的なデザイナーの仕事という枠にとらわれず事業そのものに踏み込んだアクションなどを経て「ブランディング」を行った事例を詳説いただきました。なかなか聞くことのできない貴重な話もあったのではないでしょうか。時間の都合で駆け足になってしまったのが少し残念でもっとお聞きしたかったです!終わりにブランド・ブランディングの本質や実践例の一端を知り、それ自体がとても魅力的(個人的な興味としても、事業価値としても)に思えたセミナーでした。ブランディングをゼロから作る仕事に限らず、お客様あるいは自分たちのブランド価値を高めていく立場の人なら役立つ内容だと思ったし、自分もそれに当てはまります。うまく自分の環境に学んだことを変換して、すこしでも取り入れていきたいと思う次第です。