「仮説検証型UXデザインワークショップ」に参加しました

Updated

2022.10.15

Published

2020.02.04

1/19(日)、「仮説検証型UXデザインワークショップ in NAGOYA」に参加しました。講師はギルドワークス佐々木@chachakiさん。なんと当日の資料はTwitterにアップいただいています。

学んだこと

今回のねらい
ユーザー体験と利用文脈を可視化した内容に基づき立案したコンセプトを「仮説」として捉え直し、リファインメントを実戦できること

新規事業企画の中でのUXデザイン

新規事業(サービス)には、ユーザーサイドとビジネスサイド2つの側面があります。自分も知る限り、ビジネスサイドよりユーザーサイドは後回しにされがちですが、ユーザーにとって最適な…Human Centered なUXデザインを実現し本当に価値のあるものを創り出すためには、どちらか一方ではなく、両軸のアプローチが欠かせません。

ユーザーサイドのアプローチ(深掘り)は、多くの場合いずれかに該当する手法を用います。

  • 定量調査・分析: アンケート・アクセス解析など。Howを明らかにする

  • 定性調査・分析: デプスインタビュー、フィールドワークなど。Whyを明らかにする

今回のワークショップでは後者が中心でした。

「顧客開発」の考え方

原語はCustomer Development。先に組織をつくって後から顧客を探しにいくのではなく、一人でもまず顧客を見つけ、その声を聴きながら本当に使われるものを作ろうということです。最初の仮説は大体外れるので都度ピボット(軌道修正)が要るし、片足(軸)を地に付けながら仮説をずらしていくことが大切です。

顧客開発のステージは3段階あり、会社(組織)も少しずつ考え方を切り替えていかなければなりません。

  1. Problem-Solution Fit ... 人の課題をちゃんと解決できているか?お金を払ってくれる人がいるか?

  2. Product-Market Fit ... お金を払ってくれる人がちゃんと増えているか?

  3. Scale: 資金・人を投入してどう拡大していくか?

ちなみに、「リーンスタートアップはピボットサイクル(Build 構築、 Major 測定、 Learn 学習)に注目していて、人間中心設計の考え方(4つのサイクル)と重なる部分が多く、実は同じだと考えている」とのこと。その視点で考えたことがなかったので、眼から鱗…。👀

仮説キャンバスの役割

ギルドワークスさんでは、リーンキャンバスをベースにブラッシュアップを重ねた「仮説キャンバス」を、顧客の事業を整理・検証するために用いているそう。「その会社がなぜそれをやりたいのか?」などの重要な問いを明確にします。

が、今回のワークショップでは、仮説キャンバスを使いませんでした。書き上げるのが大変でついそれを中心に考え始めてしまう…つまり仮説として捉え直すことができなくなってしまう恐れがあるから。仮説キャンバスがダメなのではなく、今回のワークショップの時間や目的とはあっていなかったということ。

このように目的に応じて手段を使い分け、何でもかんでも検証しすぎないことも、仮説と検証の重要なスキルなのでしょうね…!(経験で積み重ねるしかなさそう)

ユーザーの体験を分析するための3つの視座

ユーザーサイドへのアプローチ(深掘り)では、ある一つの視点だけでなく、いくつかの視点を行ったり来たりしながら仮説を捉え、改善・調整していくと良いそう。仮説は大体外れるから。

  • 鳥の目: 現場を見る/俯瞰する視点

  • 虫の目: 部分を見る/現場を見る視点

  • 魚の目: 流れを見る視点

仮説はあくまで仮説として捉える

ここまで書いた学びも踏まえて、今回個人的にはこれが一番大事そうに思いました。仮説はあくまで仮説です。少しずつ仮説をずらしながら検証と調整を繰り返し、「もうこれでサービスの開発を進められるぞ!」というレベルまで精度を高めることがその目標です。

仮説を大事にしすぎてユーザーに目を向けなくなってしまうのは本末転倒です(が、ありがちな気もします…)。どれだけ時間や労力がかかっていようが、様々な手法・視点から検証する中でおかしいところが出てくれば、本当に人間中心設計を実践しより良いUXの実現を目指すにあたっては正しく向き合わなければなりません。

取り組んだこと

午前は座学。午後からはくじでチームを決めてワークショップ。

正確なテーマを忘れましたが、「教育」について新しいサービスを考えてみよう!みたいな感じでした。実際に取り組んだのは次の手法。

  • ジャベリンボード(改造版)

  • 簡易インタビュー

  • ストーリーマッピング

それぞれの手法の目的や役割などは佐々木さんの資料にもまとめられています。
大まかに次のような構成だったかと。

  1. 自分たちでまず仮説を立てる

  2. ユーザーからフィードバックを得て仮説の修正を繰り返し、ある程度不確実性を減らす

  3. ユーザーの利用文脈に照らして、本当に価値のあるものが提供できているのか検証する

鳥の目: ジャベリンボード(改造版)

(1) プロジェクトのビジョン・目的を決める(一番悩んだかも。チーム内でどう決めるのか難しかったです…)

(2) 初期仮説:

  • 顧客は誰?

  • 顧客が抱える課題は何?

  • 解決するソリューションは何?

(3) 初期仮説を検証する「実験」をつくる

  • どんな人に、どんな基準を持ってインタビューや行動観察をするか

トートロジー(同義反復)、ありがちで要注意でした。

虫の目: 簡易インタビュー

今回は、参加者の中から最適そうなインタビュイー(される側)を挙手制で探し、つくった実験どおりにインタビューしました。1人2分。インタビュワー(する人)はもちろんチーム内から選出。

なお、HCD・UXデザインについて大変ベテラン感あふれる方と同じチームになりまして、その方が1人目インタビュー、私が2人目インタビューを担当しました。インタビュイーがターゲット像と合致しておらず、なかなか期待通りの回答が得られない中、話を広げて実験の材料を得ていく流れが巧みでした。自分も早速真似しよう!と思ったもののなかなかうまくいかず…。

魚の目: ストーリーマッピング

ジャベリンボードと簡易インタビューを経て、今度はストーリーマッピングという別の視点・視座から仮説を検証し、調整しながら解像度を上げていきました。

今回は次の7つのプロットを含む、ブロダクトの全体像をコンセプトストーリーとして整理しながらブラッシュアップしました。

  1. 状況説明

  2. 事件や問題の発生

  3. 盛り上げ

  4. 危機

  5. クライマックスと解決

  6. 落とし込み

  7. エンディング

ちなみに、会場はお洒落だしホワイトボードあるしグループワークに適した感じの配置になってるしで大変いい感じでした!

講評

各グループ、自分たちの仮説・検証から導かれたプロジェクトを代表がプレゼン。その内容について、検証や視点が足りてないところを佐々木さんにズバズバと指南いただく感じに…!

そして最後、1日のまとめと、質疑応答。

終わりに

以上、参加レポートでした。ワークショップも座学も新しい学びや発見があり、失敗も含めスリリングで刺激的な1日でした!そして、個別の手法を体験する機会は(UX名古屋さんなど中心に)あれど、こうしていくつかの手法をまたいで一連の流れを体験できるワークショップは初めてで、納得感も高くとても貴重な機会だったなと。

主催のうめこ@umeko12さん、UX名古屋@uxnagoyaさん、他運営・会場の方、そして講師の佐々木さん、ありがとうございました!

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Genta